語学力とはなんでしょうか。筆者はそれは「単語力」だと思います。
あなたが英語学習者の初級者であっても、中級者であっても、そして上級者であっても、単語力を増強することで英語力は格段に飛躍します。
すこし乱暴なので補足するとすれば、単語力+熟語力が今後のあなたの英語力をどれだけアップさせるか、に結びつきます。
英語力アップには単語力増強が The 王道(最短かつ確実な方法)
英検1級合格も単語力がモノをいう
筆者はいわゆる純ジャパ(日本で生まれ育った純粋なジャパニーズ)ですが、学生時代に英検1級に合格しました。
英語に加えてフランス語も独学で鍛え上げ、仏検1級まであと10点のところまで辿り着きました。
ただ、英検1級も仏検1級(まであと10点までのところに辿り着いたの)も、初回挑戦時は全く立ち向かえませんでした。英検1級も初めての受験では合格点ギリギリで不合格、仏検1級も合格点まで40点以上も足りていませんでした。
それでも、どちらも1年後の再受験では、英検1級は合格者平均点以上の点数で合格し、仏検1級は30点以上も点数を上げることが出来ました。
その1年間で何を最も頑張ったかと言えば、一言 「単語力増強」 です。加えて熟語ですね。
単語(+熟語)の力がついてくると、問題文の中で知らない単語に出てくるのが珍しくなってきます。結構嬉しいことです。
そしてしっかりと発音も一緒に単語を覚えることが出来ていれば、リスニング力もあがります。もちろん、リスニング力の向上には独特の音を覚えないといけないので、そう簡単な話ではないですが。
※ 例えば I want to は I wanna と聞こえる、といった一定の発音の短縮ルールを覚える必要もあります
英検1級レベルの単語は「そこまでは要らない」ものなのか → Harry Potter を読むためには最低限レベルでしょう
「英検1級は単語がイミフメイだし、そこまでのレベルは必要ない」という意見もあります。これは、「外国人と英語で基本的な=日常的な会話を出来るようになりたい」というレベルを目指している方であれば、もしかしたら正解かもしれません。
一方で、自身をもって英語を話したいし、小説や新聞も読めるようになりたい、という場合は英検1級レベルの単語力は最低限レベルであると言わざるを得ないでしょう。
試しに Harry Potter や Financial Times を広げてみるとわかると思います。めちゃくちゃ単語のレベルが高いです。。。
単語の何が重要か ⇨ 動詞・発音・例文(ニュアンス)
単語力が重要なことは分かったから、肝心の単語増強のポイントを教えて欲しいですよね。
そうそう、結局どうやって単語力をつけるのよ。
単語が分かれば文章が分かる。重要なのは動詞
単語を覚えるのは非常に時間がかかる。単語力増強にあたって効率的な学習方法はないか、と問われれば「動詞力を蓄えよう」と言いたいです。
動詞さえ知っていれば文章の全体像を致命的に勘違いする、といったことは起こりません。
例えば
I inoculated against typhoid. / 腸チフスの予防注射を受けた
という文章があったとして、typhoid という単語を知らなくとも inoculate を知っていれば、文章の大意は外しません。大意としては 「とりあえず、予防ということでポジティブなんだろう。」となります。
しかし typhoid を知っていても inoculate は知らない場合、腸チフスにおかされた、という誤訳をする可能性もあり、おそらく、それ以降の文章の大筋がだいぶズレていってしまいます。
よって、まずは知っている動詞を増やしていくことが効果的です。
単語が分かれば、聞き取れる。重要なのは単語の音と一緒に覚えること
単語がわかると聞き取れる、というのは、その単語の発音をしっかりと理解できることが要件です。
例えば kneel / 膝をつく という英単語の発音は [níːl] となり、k の音は発せられません。また annihilate / 全滅させる という英単語も [ənáiəlèit] と発音され、h の音は聞こえません。
また annihilate については「アニーヒレイト」ではなく「アナイアレイト」となり、母音の発音も想像していたものと違っていたかもしれません。
こういった子音が発音されないパターンもあれば、母音が想像と違った音であったりします。単語力が上がるとリスニング力も上がるのですが、そこには正しい発音を聞く必要があります。
発音記号が読めると望ましいのですが、アレもコレもと欲張っては続かないので、せめて動詞だけは発音も一緒に覚えると良いです。google で英単語(動詞)を検索すれば、検索結果のトップに発音してくれます。
単語が分かれば書ける。重要なのは単語の例文も見ておくこと
単語を覚える上で重要なのは、いや、動詞を覚える上で重要なのは「ニュアンス」を知ること。
簡単な例で言えば listen to も hear もどちらも「聞く」という意味だけれども、listen to は能動的に聞くもので、例えばラジオを聞く、といった風に使われますよね。
一方で hear は受動的に聞こえてくるもので、子犬の鳴き声が聞こえてくる、といった風に使われますね。
当たり前と言えば当たり前ですが、こういった微妙なニュアンスの違いを知ることも重要でして、このニュアンスを知るためには「例文」が掲載された単語帳や熟語帳を使う必要があります。
オススメの英単語帳ー主に英検1級挑戦者を想定
単語が重要なのはもう十分に分かったよ。それで、結局どうやって単語を増強していけばいいのよ。
はい、それでは早速、英語力=単語力を伸ばすために必要な単語帳を紹介していきますね。
筆者が有用だと感じた、今まで使ってきた単語帳をざっといきます。
出る順で最短合格!英検1級 単熟語(ジャパンタイムズ・日本アイアール 編)
「出る順」とよく呼ばれるこの単熟語帳のレベル設定は「英検1級合格のための単語・熟語を重要度順に収録.正解に直結する単熟語の意味を覚えられる」となっているよ。
英検1級過去問の2004年リニューアル以降の16万語分のデータを分析しているようで、過去問と照らし合わせてみても、たしかにその分析結果は納得できます。
この単語帳は「1日24単語×7日間×10ユニット=1680単熟語」となっており、計1,680単語をリズムよく覚えることができてよいです。品詞がごちゃごちゃに並んでいるので、効果的に進めたい方は、まずは動詞だけを覚えて1周する方法をしてみてはどうかな。
英検1級の設問1で正答となる単語の7割程度(実感ベースです)をカバーしていて、英検1級合格のためには十分な単熟語帳です!
ただし、設問1内のすべての単語(つまり正解ではない単語)をもカバーできているか、というとそうではないです。
特に熟語に関してはあまり網羅できていない感じです。それでも、すべての単熟語について例文が載っているので単熟語のイメージを膨らませることができるので、ニュアンスも押さえて単熟語を覚えることができます。
付属のCDがついています。リズム良く単熟語を覚えられるように録音されています。(自分のペースで学習したいため、筆者は全く使いませんでした。)
英検1級でる順パス単 (旺文社英検書)
「出る順」と呼ぶならば、むしろこちらの方が有名かもしれません。
正直、このパス単を一冊やりこむだけでも十分に力をつけることができます。
まずはこの一冊を3周していきましょう。1周目は時間がかかるかもしれませんが、どんなに徹底して・時間をかけて頭に叩き込んだとしても、1週間後には忘れています。。。
一回きりで頭に焼き付けることは諦めて、時間を置いて何度も何度も単語に出会うこととしましょう。
キクタン [super] 12000(アルク)
キクタンのレベル設定は「超難関大学受験で求められる12000語のうち合格の自信につながる1120語をスピード記憶」となっています。
英検準1級合格のための単語学習には十分ですね。1つの単語について、複数品詞の意味が掲載されており、例文も数種類あるというスグレモノ。
出る順英検1級単熟語と同様、毎日の学習目安がほどよく設定されており「1日16単語×7日間×10ユニット=1120単語」です。
キクタンにもCDは付属していますが、こちらもほとんど使いませんでした。ちなみに録音されたCDの発声リズムは速いです(個人的にはいい速さです)。
キクタンはあくまで単語のみを載せているので、英語の試験での得点アップに欠かせない熟語の学習はまた別の熟語帳を使わないといけない点は注意が必要ですね。
MBA ENGLISH ボキャブラリー(石井龍馬 著)
個人的に最も感謝している単語帳です。一言で言えば、レベルが高すぎる&量が多い。この本では3615もの単語が並べられています。
レベル設定は「MBA・ビジネス・アメリカ生活で本当に必要な英単語3615」となっていて、商社勤務に加えて米国MBA留学を経験した著者が、無駄無く最短で “使える” 英単語力を身につけるための厳選した英単語を並べているのですが、「レベルが高すぎる・・・」というのが最初の印象。
筆者が英検1級に合格した後、父の書斎で発見した単語帳ですが、初見時は見開き約20単語のうち、およそ10単語ほどしか分からず、かなりショックを受けました。
「こんな単語、一生出会うことすら無いだろう」と思うものばかりで、それでも “とりあえず” 始めてみたのです。
学習を始めて1ヶ月ほどたったとき、ふと英検1級の最新の過去問を見てみると・・・びっくり仰天。設問1にある選択肢の単語のほとんど全てがわかるではないですか。
英検1級合格時には正答となる単語の意味しか分からなかったところ、それ以外の選択肢の単語の意味も分かるのです。
また、英字新聞を読んでみたところ、「あ!この単語って一昨日出会った単語じゃん」といった現象も起き始めました。
「MBA・ビジネス・アメリカ生活で本当に必要な英単語3615」は、タイトルの通り生活に必要な単語が網羅されているのです。
「出る順単語」や「キクタン」だけでは「MBA・ビジネス・アメリカ生活で本当に必要な英単語」は網羅できていなかったようです。私はその後、この単語帳を5周ほど繰り返しました。
3周目からようやく7割〜8割ほどの単語を記憶に定着させられた気がしてきました。
その他の単語帳:ターゲット1900(宮川幸久 著)
単語学習は正直自分の好きなものを使えば良いと思いますが、どうせならば「重要度の高い多くの単語や熟語を載せている」ものを選びたいですね。
これから英単語力をつけていこう、という方にオススメの単語帳遍歴は
①大学受験レベルを網羅 → ②英検準1級・1級レベルを網羅 → ③MBAボキャブラリ
です。
①大学受験レベルを網羅のためには、まずはターゲット1900(宮川幸久 著)がよいと思います。この単語帳が出発点です。シス単(システム英単語)も良いらしいですね(ただ、、使ったことが無いので何とも言えないです)。
②英検準1級・1級レベルを網羅するためには「出る順で最短合格シリーズ」やジャパンタイムズから出ている「英検1級(もしくは準1級)合格を謳った単熟語帳」で、「熟語もしっかりと含まれているもの」を選ぶと良いでしょう。熟語は点数アップのために必要な知識です。
③英字新聞辞書無しレベルとするには「MBA ENGLISH ボキャブラリー」をオススメします。③のレベルに関しては正直なところ、石井竜馬さんの上の著書しか知らないので、筆者が知らないだけで、当然もっと良い単語帳はあるかもしれません。
「MBA ENGLISH ボキャブラリー」は単語のみが載っているものなので、同レベルで 単”熟”語帳 があったら嬉しいですね。
【重要かつ真理】毎日15分の単語増強をいかに継続するかが全てー「Anki」という魔法アプリ
ここまできて言うのもなんですが、正直、どんな単語帳でも「あなたが毎日、毎日、毎日、続けられる単語帳があるならば、それがベストな単語帳」です。
単語力増強の全ては「1ヶ月後も続けられているか」です。
筆者はフランス語の単語を365日以上、毎日覚えています。長文練習は平気で1週間放りっぱなしということもありますが、単語だけは毎日続けています。
それを可能としているのが Anki というアプリなんですが、これはまた別の機会でご紹介しますね。
<補足>単語と並んで重要なのが熟語 ≒ 文法です
実は熟語がテストの点数をアップさせるためには最も効果を発揮します。
というのも、試験に出やすいからです。言い換えると、テストに必ずと言っていいほど出てくる文法問題の中身って、実は熟語力を問うようなものが多いのです。
例えば 「look forward to 〜ing」は、学生ならば必ず一度は試験問題で出会ったはずですが、これは熟語力を問う問題だと思っています。恐らく「to 不定詞」を勉強する際に、併せて勉強する表現でしょう。
学校の英文法の授業で習う表現かもしれませんが、熟語帳でも出会える表現です。
つまるところ「継続」
何事も継続。まずは単語帳を開きましょう。
知っている単語が増えていくと、英語は理解できるようになります。
単語帳は何冊も要りません。同じ単語帳を3周してみましょう。本当に英語が読めるように・聞けるようになります!
筆者は既に連続600日間近く、日々単語を学習しています。毎日の学習時間は平均15分。たった15分でいいのです。
「ながら学習/ついで学習」が継続のコツだと思うので、通勤・通学電車に乗る直前のプラットフォームで単語帳をリュックから取り出しましょう。それだけでいいのです!
コメント
私は東京大学法学部卒で誰もが知っている国際機関の職員です。また子供の頃は外人居留地育ちですが、そのような私でも英検一級試験で出てくる単語の大半は実際には使ったことがありません。このような単語を勉強しても、(イギリス的)知識人や英語ベースの文筆家にはなれるかもしれませんが、「必要か」と言われれば「不要」でしょう。ネイティブでも普通に辞書を引きながら読むレベルです。総合的に考えれば、他の事柄を覚えた方が幾らもましだと思います。