証券アナリストの公式(証券分析)で最低限コレを暗記

証券アナリスト

証券アナリストの1次・2次どちらも一発合格した筆者が、証券アナリスト(1次)の証券分析で重要・役立つと思った公式を纏めてみました。

これから証券分析の勉強を開始しようとしている、証券分析の勉強を一旦完了させた、試験直前に要点を振り返りたい、という方々にとって役立てられればと思います。

参考1証券アナリスト独学合格(一次)〜3科目同時合格は簡単〜最低限抑えるポイント

参考2証券アナリストの公式(財務分析)は実務で使える知識が多い!

証券分析は概念が難しいが試験対策としては公式暗記が効果的!

証券アナリストでは証券分析がキモとなります。勉強すべき範囲も多いし、内容も初見の場合は難しく感じる

証券アナリストの内容を理解することが最重要であるけれども、とはいっても証券アナリストは資格 “試験” なので、効率的に得点することも重要。

証券分析の問題集を4周するなかで、コレよく使う公式だな、と思った公式を羅列していきます。

証券分析がキモ

<掲載している関連公式>
連続複利/証券iのプレミアム/資本市場線/証券市場線/相関係数と共分散と偏差の関係/ベータと共分散の関係/ベータの加重平均/証券iのトータルリスク/ポートフォリオリスク/共分散の分解/シャープ・レシオ/トレーナー・レシオ/インフォメーション・レシオ/ジェンセンのアルファ/状態価格/リスク中立確率と状態価格の関係/リスク回避度/債券の価格/マコーレー・デュレーション/修正デュレーション/価格Pの変化/プット・コールパリティ/先物価格と現物価格/オプション価格の変化(デルタ, ガンマ, ベガ, セータ, ロー)

前提知識となるキーワード

これらのキーワードは証券アナリストの勉強を開始する前に、シッカリと頭に入れておく必要があります。

これらは基本的な知識なので、詳しい解説は受験参考書やネット情報も見てください。

期待値:(例)サイコロの目は①〜⑥でどれも6分の1の確率。この場合の期待値[X]
E [サイコロ] = \( \\ \displaystyle 1\times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} +3\times \frac{1}{6} +4\times \frac{1}{6} +5\times \frac{1}{6}+6\times \frac{1}{6} = 3.5\)
分散:(例)サイコロの出る目について分散[X] は、各目と期待値3.5の差を2乗した和を使って、
V [サイコロ] = \( \displaystyle (1-3.5)^2 \times \frac{1}{6} + (2-3.5)^2 \times \frac{1}{6} + (3-3.5)^2 \times \frac{1}{6} + (4-3.5)^2 \times \frac{1}{6} + (5-3.5)^2 \times \frac{1}{6} + (6-3.5)^2 \times \frac{1}{6} = 2.92 \)
標準
偏差:σ
(例)サイコロの出る目について標準偏差σ[X] は、分散[X] の平方根なので、
σ( サイコロ ) = \( \sqrt{V[サイコロ]} = \sqrt{2.92} \fallingdotseq 1.72 \)
共分散:
Cov
2つの変数の関係の強さを表す指標。
確率変数X,Yの期待値をそれぞれE[X]=μX と E[Y]=μY,とすると共分散は以下。
\( Cov \, [X, \, Y] = E \, [ (X – \mu_X ) \times (Y – \mu_Y ) ]\)
相関
係数:ρ
相関係数はXとYの共分散 Cov [X,Y] を、Xの標準偏差:σX とYの標準偏差:σYで割る。
\( \displaystyle \rho = \frac{Cov \, [X, \, Y]}{\mu_X \times \mu_Y }\)
基礎知識

証券分析の公式群

公式数にしてわずか20個ほど。これらを覚えた上で過去問題集を解き始めてもよいと思います。

最初は公式の意味/計算している事象が分からないのですが、結局、最終的には公式を覚えることとなりますので、型を覚えながら&徐々に公式の意味も理解しながら、で進めていけばよいです。

もちろん、公式を覚えたところで目の前にある問題を解く為にはどれを使えばよいか分からない、となると思います。

が、とりあえず覚えましょう。その後で過去問題集を解き進め、解答を見て「あ、この公式を使うのね。」というステップでよいかと思います。

順番はあまり関係ないので、英単語を覚えるようなイメージで、ランダムに公式を記載しています。

公式内容
連続複利元本V0 円を、期間T年、金利rで連続複利で運用した場合の元利合計額 VT は以下の通り。eはネイピア数。
証券iのプレミアムプレミアムとは、証券iを売買したときに得られる価値(値段)または将来の価格変動に対する平均値(期待値)のこと。
証券iのプレミアムは、証券iのリターンをRi 、リターンの平均値(期待値)を
E[Ri ] 、米国債のような安全資産のリターンをRf とすると以下の通り。
資本市場線株式や債券や国債を自由に混ぜ合わせた個別ポートフォリオの期待収益率E[Rp ]を、
・マーケットポートフォリオ(※)の期待収益率E[Rm ]と、
・マーケットポートフォリオ(※)の標準偏差σm と、
・米国債のような安全資産の期待収益率Rf と、
・個別ポートフォリオの標準偏差σp
を用いて表したもの。
※世の中に存在するすべての
証券市場線個別の証券(株式等)の期待収益率E[Ri ]を、
・マーケットポートフォリオ(※)の期待収益率E[Rm ]と、
・安全資産収益率Rf と、
・市場全体に対する個別銘柄の相対的なリスクであるβ
を用いて表したもの。
※世の中に存在するすべての資産からなるポートフォリオのこと
相関係数と共分散と偏差の関係証券Aと証券Bの相関係数ρAB、証券Aと証券Bの共分散 cov(A, B)、証券Aの標準偏差σA、証券Bの標準偏差σBの関係は以下の通り。
ベータと共分散の関係ある株式iの市場との相対的なリスクβi、ある株式iと市場全体の共分散 cov(m, i)、市場全体の分散σの関係は以下の通り。
ベータの加重平均βは加重平均可能。
証券iのトータルリスク証券iのトータルリスクは、市場全体のリスクσm、市場全体との相対的なリスクβi、市場全体とは無相関に発生するアンシステマティック・リスクσεi で表せる。σεi は銘柄分散でリスク減少可能。
ポートフォリオリスク証券Aと証券Bを、WとWの割合で組み合わせて作ったポートフォリオPのリスクは以下の通り。
共分散の分解証券Aと市場全体の共分散 Cov(A, m)、証券Bと市場全体の共分散Cov(B, m)、証券Aと証券Bの共分散 cov(A, B)、市場全体のリスクσmの関係は以下の通り。
シャープ・レシオあるポートフォリオPの標準偏差σP(=リスク)を取ったことにより、ポートフォリオの期待収益率E[Rp ] は 無リスク資産の期待収益率Rf をどれだけ上回ったかを表すもの。
トレーナー・レシオあるポートフォリオPのβP(=リスク)を取ったことにより、ポートフォリオの収益率Rp は 無リスク資産の期待収益率Rf をどれだけ上回ったかを表すもの。
インフォメーション・レシオ(日経平均株価や東証株価指数等のベンチマークと比較するケース)
ベンチマークを超える成績を目指すべく、追加でリスク(TE:トラッキングエラー)を取って組成したポートフォリオPに関して、ポートフォリオPの収益率Rp がベンチマークの期待収益率RBenchmark をどれだけ上回ったかを表すもの。
ジェンセンのアルファポートフォリオiの実現収益率E[Rp ]が、理論的に期待されるリターン(以下の { } の中)に比べて、どれほど上回ったかを示す指標。市場に非効率性がある場合は、理論値を超えてリターンを上げるチャンスがあるということであり、銘柄選択や投資比率の変更によって実現される。
状態価格将来その状態が起きた時にのみ1円が支払われる証券に対して市場がつけた現在価格のこと。例えば状態Aになった場合に1円支払われる証券を100個保有していたとして、将来、状態Aになった場合には100円が支払われる。
リスク中立確率と状態価格の関係リスク中立確率 = 状態価格 ✕(1+Rf
リスク回避度複数の資産の組み合わせからどれほどの満足度を得られるかを定量的に示す効用関数Uについて、資産の変化額でリスクの大小を考えと、投資家がどれだけリスクをとることを避けたいと考えているかを示した数値で、以下の通り。
債券の価格n年後に満期がくる利付債券で、毎年のクーポン額がC、額面がF、複利利回りがrのとき、債券価格Pは以下の通り。
マコーレー・デュレーション利付債券の現在価格がP、クーポン額がC、額面がF、利回りがy、償還がn年後の場合、マコーレー・デュレーションは以下の通り。債券投資の平均回収期間を表すと言われており、単位として「年」が付けられる事が多い。
修正デュレーションマコーレー・デュレーションがDmac、利回りがyの場合、修正デュレーションは以下の通り。一定の利回り変化に対応する債券の価格変化 “率” の大きさを示す。
価格Pの変化現在価格がPの債券の利回りが⊿yだけ変化したとき、債券の価格変化額 ⊿Pは修正デュレーションDmod を使い、以下の通り近似的に表すことが出来る。
BC はコンベクシティ(コンベクシティの言及がないときは BC はゼロ)
プット・コールパリティコールオプション価格がC、プットオプション価格がP、原資産価格がS、権利行使価格がK、金利がr、残存期間がTのオプションには以下の関係式が成り立つ。
先物価格と現物価格先物理論価格: Fは、現物価格: S、年率金利: r、配当利回り: d、決済までの年数: Tを使って以下の通りに表せる。
デリバティブ価格の変化
(デルタ/ガンマ/ベガ/セータ/ロー)
デルタ: 原資産価格の変化に対するオプション価格の変化 ・・・ コールで、プットで
ガンマ: 原資産価格の変化に対するデルタの変化 ・・・ コールもプットも常に
ベガ: ボラティリティの変化に対するオプション価格の変化 ・・・ コールもプットも常に
セータ: 時間経過に対するオプション価格の変化 ・・・ コールもプットも常に
ロー: 金利の変化に対するオプション価格の変化 ・・・ コールで、プットで
関連公式

文字が多くなってしまいましたが、一旦、最低限これだけ覚えておくとよいでしょう。

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